つんく♂は「選ばれし男」という

ダウンタウンの松本人志さんが、つんく♂は「選ばれし男」と語ったニュースを読みました。

 選ばれたんでしょう。良くも悪くも。『こいつは、こういう試練を与えても、世の中のために何かやりよるんだろう』と選ばれてしまったんだと思うんですよ。選ばれし男なんやということですよ

皮肉なことに声を失うということで彼の言葉の重みって、ものすごく増すと思う。彼がこれから書く詩は、えげつないパワーを持っているから、すごく注目したい

もし、僕が大病を患ったときは悩むかもしれませんけど、俺も選ばれたんかなと思って、健康なやつを見下して生きてやろうかなという感じですよね

毎日新聞2015年04月12日http://mainichi.jp/mantan/news/20150412dyo00m200001000c.html

「健康なやつを見下して生きてやろうかな」というのはいかにも松本さんらしい表現です。「選ばれし男」という観点は、障がいをもって生まれた子や障がいのある人を「Challenged(チャレンジド)」と呼ぶのにも似たニュアンスのあるコメントだと思いました。

 

この世に生きている限り、さまざまな障碍に出くわすものだ

そもそも、生きている間にはいろいろなことがあるものです。他人の体の機能障害を、ハンディキャップだ、それ大変だと騒ぎ立てる人は、自分の身に起こる小さな障がいにも負けてしまうような気がします。

ハンディキャップにさせているのはあなた(と、あなたが属する社会)ではないですかと、ついツッコミをいれたくなります。その社会の一員としてリハビリテーションを仕事にしてお給料をもらい、生かしてもらってきた私が言うのもおかしな話で、頭がこんがらがりそうですが。

体が不自由になることを含め、人生に起こるあらゆる苦難を、成長のチャンスであり、挑戦であり、生きる妙味だと思えない人は、自分たちがつくりあげた社会通念の下でいずれ自分の首を絞めることになるのではないかと危惧しています。

つんく♂さんの場合、「歌」と「声」という人生をかけてきた事との関係がはっきりしているだけに、それを見た私たちは失った時の失意や落胆や恐怖をつい推し量り、憐れんだりしがちです。

けれど病気や体の障がいがあろうがなかろうが、人生をかけるに値する挑戦をあきらかにもつ人は、生きる強さがあります。そのように生きていける人は、幸せです。つんく♂さんはおそらく今、ワクワクするような未来のビジョンと希望を見ているのではないかと、勝手ながら(期待をふくめ)推測しています。

体が不自由になっていく高齢者のいろんな姿を見てきた私としては、「障がいがある人はかわいそう」と無意識的にでも思ってしまう人は、年老いてしまう前にできるだけ早く、障がいは特別なことではないと気づいたほうがいいと思います。もちろん、無駄に体を傷めてしまうことなく生きられることや、回復するためのトレーニングを欠かさないでいてくれることを私は願っています。

あわせて2012年に発行された超訳ニーチェの言葉Ⅱの1章「生について」029。これも障がいについて書いてありましたので興味深く読みました。

毒を強壮剤に

この世に生きている限り、さまざまな障碍に出くわすものだ。

憎まれ嫌われること。妨害。ねたみ。悪い噂。いやがらせ。卑劣な暴力。ハニートラップ。不信。欲得。冷遇。これらにあっさりと屈して自分をなくしてしまう者もいる。

また、これらを自分の成長の肥やしにしてしまう者もいる。その人にとって、さまざまな障碍や不都合や理不尽はもはや毒物ではない。彼にとって、それらは自分を高く立派な人間にするための強壮剤なのだ。

超訳ニーチェの言葉Ⅱ 029

何を失った時に一番ダメージをうけますか?

私なら何を失ったら一番ダメージをうけるだろうな。歌手が声なら、ピアニストは指?私は何に尽力して生きているのか、生きてきたのか考えてみました。

けれど、そうたいしたものは浮かんでこず・・・。

仕事がら、どこを失ってもくじけない覚悟だけは、してきたつもりでいるし、何を失ったとしても生きる以上の価値はなく、やはりどんな姿であれ生きていきたいと思っています。

(追記:さきほど、思い出したところによると、体の皮膚、とくに顔にダメージをうけたとき、かなりの気力を落とします。10年以上にわたりアトピー性皮膚炎があったので)

それに、これだけ高齢社会になれば純粋ないわゆる「健康なやつ」などいないのではないかというくらい、どこかしら不調を抱えながら暮らしていますから(少なくとも、私が見ている世界では)、誰を見下す必要もなく、誰から見下されることもなく、生きていくのがいいでしょう。

失いつづける人生の中にも、可能性と喜びを見つけて暮らす人を、私は美しいと思います。少なくとも、「長く生きていてもっちっとも楽しい事なんてない」と平然といってしまう人にはなりたくない。

どうして、長生きしても楽しいことなんてないという人がいるのでしょう。生き方の問題ではなく、加齢して脳が変化しせいで意欲も楽しみも湧かなくなったのか、それとも生き方が脳をつくるのか・・・。適度に使わないと機能は衰えるという原則からすると、後者でしょうか。それにしても、受け身の暮らしで、感謝も失くしていたら、楽しいと思えるはずがないことだけは確か。

ちなみに私、松本さん好きです。

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photo credit: “22° Halo” aka “Rainbow around the SUN” via photopin (license)

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