持てる力を総動員させる

 

「日本中に別荘がある」そういったのは20代半ばも過ぎたある男性でした。あれはたしか、一緒に山道を歩いていたときだったと思います。それは私がかつて結婚を考えていた人。まあ、はっきりいってしまえば今の夫なのですが、話を聞いてみれば「日本中に山小屋やテント場があるだだろう?」ってなことでした。「だから、どこへでも行ける」と。私はこの時、ああこの人とならどんな場所でも生きていけると思いました。

とはいえ、親二人が死ぬわけにはいかないので、子どもが生まれてからは冬山や危ない方法での登山は私が我慢をしました。若さゆえにどんどんエスカレートし危険な山に登っていく彼を見送るたびに、お腹の赤ん坊や小さな子どもやを抱えながら、家族の誰にも不安の欠片は見せてはいけないと平静をよそおいました。

最悪の場合をシュミレーションして、眠れない夜を度々過ごしました。山男には惚れるなとはよく言ったものです。

そしてあの頃、身動きのとれない自分の身の悔しさに、あなたがその山を登るなら、私は私の山を登ると心に決めました。

子どもが大きくなるまでには、考えの行き違いがたびたびありましたが、彼の精神の自由さと寛容によって最後には救われて、田舎の片すみで守られて、安心して子どもを育て世界に放つことが出来たように思います。(経済的な自立までにはまだあと数年かかりますが)

頂上に立ち、生きて帰ってくるのが登山。

千日回峰行をした酒井雄哉さんのご著書にも書かれているように、長く歩くにはワンパターンで偏った身体使いや意識づかいではいけません。力や注意をさまざまに分散させ、持てる力を総動員させることが必要です。

 

動員といえば、神経が筋力を動かす仕組みもよく似ています。

運動に動員する運動単位(運動ニューロンと筋線維のチーム)の種類や数やタイミングを変えることで、私たちの体は力の質や強さや出力時間をさまざまに変え、環境負荷に適応して動いているのですよ。おもしろいですね。

何だか、ふと思いついたので、書いてみました。

 

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